坐禅のしかた
道元禅師
道元禅師様の教えは、その残された書物などの難解さ故、深遠で凡人では理解不能のようなものとして周知されている感がありますが、実はその教えは非常に単純明快であります。
人は皆本来すべて仏(絶対的な安らぎの存在)ではありますが、そのまま何もしないで惰性に過ごしていても悩みや苦しみから離れることはできません。
仏としての自覚、言い換えれば仏としてのスイッチを自ら入れることで初めてそれが自覚される、そのスイッチを入れるのに最適な仕方が坐禅を行ずることであると説かれました。
また、弟子である瑩山禅師様はさらにそれを敷衍して、食事をしたりお茶をいただく等、日常生活の全てを坐禅の時に得られた仏としての自覚をもって過ごす重要性を説いておられます。
坐禅はすべての人にとって(安楽の法門)最高に安心できる方法であり、混迷としたこのストレス社会に悩むすべての人を安らぎの道へ導く最良の実践方法であります。
しかし、それは自ら体験することによってのみ理解し得るものです。皆様も実際に坐禅をしてその真偽を確かめてみませんか?
坐禅会には行きたいけどなかなか時間のとれない方、またとりあえずおうちではじめてみたいという方に、おうちでもできる簡略した坐禅のやり方をご紹介いたします。ぜひ試してみてください。
静かな場所を探します
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座布団やクッション、坐禅をするのに適したものを用意(曹洞禅専用の坐布があればベスト)、また椅子でも大丈夫です
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身も心もリラックスしましょう。軽いストレッチをするのもいいでしょう。
いざ坐ってみよう!
坐禅で大切なことは三つあります。
身体と呼吸と心を整え、調えることです。
身体を整える
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坐禅は合掌にはじまり合掌に終わります。二つ折にした座布団、クッション、椅子等に腰を下ろします。できれば、外界を遮断するのに壁に向かい坐って下さい。(面壁)
合掌 御拝 真っ直ぐに
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背筋を伸ばし脚を組みます。両足を組むのを結跏趺坐、片足を組むのを半跏趺坐といいどちらでもかまいません。また椅子の方には特に決まりはありませんが開きすぎず閉じすぎに座りましょう
結跏趺坐
半跏趺坐
座布団を挟んで正座
椅子坐禅 正面 垂直に
椅子坐禅 横面 丁寧に
丁寧に坐ります
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坐る形ができたら、左右揺身。右に左にはじめ大きくだんだん小さく、振り子に自分の中心を見つけて止まりましょう。
左右に揺らし自身の中心を定めよう
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おへその下あたりに右手が下左手が上の印を組みましょう。(法界定印)
法界定印
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眼は閉じず半眼でやや下方に。口は閉じてへの字口、舌を上あごにつけて鼻で呼吸いたします
呼吸を調える
お腹にある空気を全てまずは大きくゆっくり吐き出してください。吸うときは鼻から吸い、これを何回か行うことで自然な腹式呼吸を体認していきます。後はゆっくり、長すぎず短すぎず自身の体に合った腹式呼吸を自然に行うようにしていきます。
心を調える
心とは頭で考えることです。基本的には色々思いをめぐらすことは極力しないでください。それでも色々頭に思い浮かぶことは追わないようにしてください。できるだけ無心になれるように努めてください。
時間
まず、はじめは5分、10分、15分位と徐々に延ばしていきましょう。行う時間はいつでもいいのですが、やはり少しだけ朝早起きして行うのが誰にも邪魔されずにできるのでいいでしょう。小鳥のさえずりを聞き朝日につつまれながらすばらしい一日をお迎えしましょう。また、夜寝る前に行ってその日の頭の疲れをスッキリさせて快眠されるのもお勧めします。もちろん両方行えばさらにいいでしょう。
おうちでの坐禅に慣れてきたら、是非お寺の坐禅会に来て一緒に坐りましょう。
きっとあなたと同じ坐禅を好きになったお仲間と出会えますよ。
眼藏会(本気で坐禅を学びたい方)
道元禅師最高の著作、「正法眼蔵」を学ぶ会があります。道元禅師の教えは非常に難解で知的理解だけでは到底わからない深遠な教えです。その教えに少しでも触れるにはその教えの根幹をなす坐禅を中心にした生活をおくりながらでなくてはなりません。高龍寺では年に一度、この正法眼蔵の専門家の先生をお招きし一般参禅者とともに、宿泊参禅勉強会を行い更なる研鑽積んでいます。
各種参禅会
小中学生のための坐禅会、北海道教育大学の坐禅実習、青年会議所や各種スポーツ団体等の心身育成の為の宿泊坐禅会等、現在まで様々な坐禅会を開催してまいりました。また、ご相談によりいつでも受け付けておりますので、ご連絡お待ちしております。
道元禅師の言葉
坐禅は習禅にあらず。
唯だ是れ安楽の法門なり、菩提を究尽するの修証なり。
超訳 坐禅をする姿そのものが悟りである